公開: 2026年9月2日
「ソフトの入れ替えやAI導入に、補助金を使えないだろうか」——そう思って調べ始めると、制度の名前が変わっていたり、申請枠がいくつもあったりで、どのページを読めばいいのか分からなくなりませんか。
この記事では、中小企業のデジタル化・AI導入で使われる代表的な補助金「デジタル化・AI導入補助金2026」について、しくみの前提・枠の選び方・締切の見方を、公式サイトの情報をもとに順番に整理します。
長く「IT導入補助金」と呼ばれてきた制度は、2026年から「デジタル化・AI導入補助金」という名前になりました。正式な事業名は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」。中小企業基盤整備機構・中小企業庁の監督のもとで事務局が運営する、国の補助金です。
名前が変わったことで、検索すると旧名称のまま止まっている過年度の解説ページに当たりやすくなっています。年度が変わると枠の構成や条件も変わるので、条件や締切は必ず「2026」と付いた公式ページで確かめるのが安全です。
この補助金でいちばん誤解されやすいのが、ここです。しくみの前提が3つあります。
1つめ。補助の対象になるのは、事前に事務局の審査を受けて登録されたITツールだけです。公式サイトに「対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります」と明記されています。使いたいツールが決まっているなら、まず登録されているかを公式のITツール検索で確かめることになります。
2つめ。申請は自社だけで完結させるのではなく、事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで行う決まりです(複数者連携枠を除く)。ツールを提供するベンダー側が支援事業者を兼ねていることも多く、申請の手続きは組んだ相手がサポートしてくれます。
3つめ。補助金は後払い(清算払い)が原則で、交付決定の前に発注した経費は補助の対象外になります。「先に買っておいて、あとで申請しよう」が使えない点は、社内の稟議の順番にも関わるので早めに押さえておきたいところです。
出典: デジタル化・AI導入補助金制度概要(公式)/中小企業庁 ミラサポplus「補助金入門 STEP3」
2026年版の申請枠は、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠・複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つです。
業務ソフトやAIツールの導入で検討するのは、多くの場合は通常枠になります。顧客対応・在庫・会計といった業務プロセスを担うソフトウェアの導入費用が対象で、補助率は1/2以内(賃上げ関連の要件を満たす場合は2/3以内)。ソフトの購入費だけでなく、クラウド利用料(最大2年分)や、導入設定・研修・保守サポートといった周辺の費用も対象に含められます。
1つ注意があります。通常枠は「1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェア」を申請する決まりで、業務に紐づかない汎用ツール単体では申請できません。補助額の下限・上限は、ツールが担う業務プロセスの数で変わる形です。具体的な金額の条件は、公式の通常枠ページと補助金シミュレーターで確かめられます。
出典: 通常枠(公式)
枠の名前から入ると迷いますが、やりたいことから見ると分かれ方はシンプルです。
出典: インボイス枠/セキュリティ対策推進枠/複数者連携枠(いずれも公式)
2026年版の交付申請は3月30日から始まっていて、この記事を書いている時点で公表されている直近の締切は、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠が2026年9月29日(火)17:00(5次締切分)、複数者連携枠が2026年10月30日(金)17:00です。9月29日の回は、交付決定が11月9日(予定)、そこから2027年4月30日までが事業実施期間とされています。
スケジュールのページには「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」とあり、6次以降の締切日はまだ出ていません。ここから言えることは2つです。直近の回に間に合うかは締切から逆算して考える。間に合わない場合も、次の回が出る前提で準備は進めておける——ということです。交付決定を待ってから発注、という順番も含めると、「いつまでに現場で使い始めたいか」から逆算して動き出すのが実務的です。
最後に、順番の話をひとつ。補助金の情報から入ると、「せっかくだから対象ツールの中から良さそうなものを」と、道具選びが先に走りがちです。ただ、中小企業庁の2026年版中小企業白書の調査では、AIを活用していない理由として最も多かったのは「活用する業務がイメージできていない」でした。道具より先に、業務のどこに詰まりがあるかが見えていないと、導入したツールが使われないまま残ることになりかねません。
出典: 中小企業庁「2026年版 中小企業白書」第2部第2章第2節
おすすめの順番は、先にいまの仕事を書き出して、AIやソフトで受けられる場所を見つけてから、その解決策が補助金の対象になるかを確かめる流れです。書き出しのやり方は「AIで何かやれ」で止まってしまったときの進め方で紹介しています。どんな業務がどんな画面になるかは、AI活用例のデモを触ってみるとイメージしやすいはずです。
公式の制度概要では、対象となる「中小企業・小規模事業者等」について、日本国内で事業を営む法人または個人と説明されています。個人事業主も対象に含まれます。細かな要件は枠ごとの公募要領で確認してください。
公式サイトの「ITツール検索」で、登録済みのツールを調べられます。まだ登録されていないツールは、そのままでは補助対象になりません。
いいえ。この補助金は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と組んで申請するしくみです(複数者連携枠を除く)。ツールの提供元が支援事業者を兼ねていることも多いので、導入したいツールが決まったら、まず提供元に補助金対応を確認するのが早道です。