公開: 2026年9月16日
「あと何回残ってましたっけ?」——施術台の横で聞かれて、すぐに答えられない。カルテの裏を見て、券の控えを探して、レジの履歴をさかのぼる。お客様は待っている。
回数券もサブスクも、売るところまでは簡単です。難しいのはそのあとで、残りの回数と期限が、券とお店の記録の両方にまたがって存在していること。ここがずれると、数え違いも、期限切れの気まずいやりとりも起きます。
この記事では、残回数と期限をひとつの台帳で追えるようにする方法を、並べるものと作る順番に分けて紹介します。
回数券のトラブルは、たいてい同じところから始まります。お客様は券の残りマスを見て数えていて、お店はカルテや予約表を見て数えている。ふだんは一致しています。ずれるのは、担当者が代わったとき、券を忘れて来店したとき、施術の途中でメニューを変えたとき。するりと起きます。
サブスク(月額制)だと、ずれ方が少し違います。休会と再開、月をまたいだ繰り越し、家族での共有。「今月は何回使えるんでしたっけ」がその場で言えないと、お客様のほうも遠慮して使いにくくなります。使われないまま解約されるのは、お店にとってもいちばんもったいない終わり方です。
期限も同じです。券を売った日から半年、と決めていても、その半年後が何月何日かを覚えているのはお客様のほう。お店側は聞かれてはじめて調べることになります。気づいたら切れていた、という連絡ほど気まずいものはありません。
逆に言えば、残回数・期限・最後にいつ来たかの3つが同じ行に並んでさえいれば、この種のやりとりはかなり減ります。
最初から作り込む必要はありません。次の5つが1行に収まっていれば、その日から使えます。
1. 誰の券か: お客様の名前と連絡先。予約表やカルテと同じ表記に揃えておくと、後でつなぐときに楽になります。
2. 何の券か: 「脱毛6回券」「よもぎ蒸し月4回」のようにメニュー名と回数をそのまま。券の種類が増えてきたら、ここが検索の入り口になります。
3. 残り何回か: 買った回数ではなく、残っている回数を主役にします。使うたびに1つ減る形にしておくと、数えなおす手間が減ります。
4. いつまでか: 購入日ではなく有効期限を日付で。「購入から6か月」と書いておくと、結局その場で計算することになります。
5. 最後にいつ来たか: これが入ると、残っているのに来ていない方が見つかります。回数券は買った時点で売上が立ちます。ただ、来店が途切れたまま期限だけ過ぎるのは、お店にとってもお客様にとっても損です。
予約やカルテ、配信の宛先までまとめる考え方は予約・カルテ・配信をひとつにまとめるでも紹介しています。回数券の台帳は、その一部として作っても、先に単独で作っても構いません。
まず、今ある券を書き出す。エクセルでも手書きでも大丈夫です。いま有効な券が何枚あって、それぞれ残り何回・いつまでなのか。ここで「そもそも何枚出ているか分からない」ことに気づくお店は、けっこうあります。気づけたなら、その時点で一歩進んでいます。
次に、消化を記録する場所を1つに決める。予約表の備考でも、カルテの1行でも構いませんが、どこに書くかを決めて全員で守るのが肝心です。券にハンコを押すだけの運用だと、券が手元にない日に詰みます。お店側の記録が正で、券はその控え、という関係にしておくと迷いません。
最後に、期限の近い順に並べ替えられるようにする。ここまで来ると、月初に「今月末で切れる方」を一覧できるようになります。声をかける順番が決まるので、期限切れの連絡がぐっと減ります。
この3つが回るようになってから、仕組みにするかどうかを考えても遅くありません。紙で回らないものは、システムにしても回らないことのほうが多いです。
台帳そのものは、AIがなくても作れます。AIが効いてくるのは、そこから先の「気づく・書く」の部分です。
期限が近い方のまとめ: 期限まで1か月を切って、かつ残回数がある方を毎週まとめて出す。人が月初に見に行く運用だと忘れる日がありますが、向こうから出てくる形にすれば抜けません。
声かけの文面づくり: 残り回数と期限、最後の来店日を渡して、お客様ごとの一言を作らせることができます。「残り2回、11月末まで」という事実は同じでも、3か月空いている方と先週来た方では、かける言葉が変わります。担当者は直して送るだけになります。
使われていない券の見つけ方: 購入からしばらく来店がない方を拾い出す。回数券が動かなくなる理由はさまざまですが、気づくのが早いほど、次の一手を打つ余地が残ります。
どれも、台帳が整っていることが前提です。残回数が正しくない状態で通知だけ自動化すると、間違った案内が自動で飛ぶことになります。
券はそのままで大丈夫です。お店側の記録を正にして、券はお客様の手元の控え、という位置づけに変えるだけでも、数え違いはかなり減ります。券のデザインを変えるのは、必要になってからで間に合います。
1店舗で、担当者が同時に触らないなら、エクセルで十分回ることも多いです。困りはじめるのは、複数人が同時に開くようになったときと、期限の近い方を毎週見たくなったときです。その段階で仕組みを考えるので遅くありません。
切れた後に伝えるほうが気まずいものです。早めに一度お知らせするほうが、お客様にとっても親切なことが多いと思います。全員に同じ文面を送ると催促に見えます。残り回数と期限を添えて、その方に合わせた一言にするのがおすすめです。